「良いものを書けば、いつか読まれる」——ブログを続けていると、一度はそう信じたくなります。ですが現実はそう甘くありません。どれだけ内容が良くても、そもそも興味のない人には存在すら気づいてもらえない。そんなもどかしさを感じていたときに出会ったのが、『読まない人に、本を売れ。売れない時代に大ヒットを生み出す秘密』(永松茂久・著/ライツ社)です。
本を読む人が減っている、と言われて久しい時代に、なぜこの本はここまで売れたのか——その「仕掛け」が純粋に気になったのが、この本を手に取ったきっかけです。AIが文章を書いてくれる時代だからこそ、「何を書くか」も大事だけれど「どう届けるか」を考える力も重要になっていくはずだと感じていました。加えて、自分のブログ記事をもっと多くの人に読んでもらうためのヒントにもなりそうだと思い、読み進めることにしました。
この記事では、本書から学んだ「興味のない人にどう届けるか」というテーマを、ブログ運営の視点で整理してみました。
本の概要 — 100万部の裏側を作った制作チームの記録
本書の著者・永松茂久氏は、150万部を超えるベストセラー『人は話し方が9割』の著者でもあります。
『読まない人に、本を売れ。』は、その『人は話し方が9割』がどうやって「日本一売れる本」になったのか、企画から営業戦略までの舞台裏を明かした一冊です。
「出版で日本一を目指す」と決意した著者が、営業担当の原口大輔氏をはじめとする制作チームと共に、読者像を突き詰め、売り場戦略を練り上げていく過程が描かれています。単なるマーケティング論ではなく、著者自身の自伝的な要素も強く、チームで一つの目標に向かっていく熱量が伝わってくる内容です。
タイトルの意味 — 「読まない人に、本を売れ」の本質
タイトルの「読まない人に、本を売れ」は、「飲まない人に、酒を売れ」「使わない人に、サービスを売れ」というように、業種を問わず置き換えが利く普遍的なテーマです。
よく引き合いに出される「北極に住む人に冷蔵庫を売れ」という例え話も、本質は同じです。極寒の地に暮らす人にとって、冷蔵庫は一見まったく不要な家電に思えます。ですが、食料を「凍らせすぎない」ために冷蔵庫が使われている、という切り口を示せれば、興味のなかった相手にも価値が伝わります。
つまり本書が扱っているのは、本の売り方に限った話ではありません。すでに興味を持っている人にどう深く刺さるかではなく、そもそも関心のない人にどう気づいてもらい、手に取ってもらうか——あらゆる発信やビジネスに共通する課題です。ブログ、SNS、商品開発、どの領域にも応用できる視点だと感じました。
学べる3つのポイント
① ターゲットを”具体的な1人”まで絞り込む
本書で印象的だったのが、読者像を「イオンに来る主婦」というレベルまで具体化して企画を進めていたエピソードです。「30代女性」「働く女性」といった曖昧な括りではなく、その人が普段どこで何をしていて、何に悩んでいるのかまで解像度を上げてから、初めて的確な言葉やデザインが選べるようになる、という考え方です。
ブログに置き換えると、「誰の、どんな悩みに答える記事なのか」を1文で言えるかどうかが、記事の刺さり方を大きく左右します。
今回のこの記事で言えば、読者像は「個人ブログを副業として書いているものの、なかなか読者が増えずに悩んでいる40代のサラリーマン」になりそうです。ここまで具体化しておくと、どんな言葉で語りかければいいのかが自然と見えてきます。
② 売り場(接点)を起点に戦略を組む
制作チームは、書店の売り場づくりに徹底的にこだわり、全国を回って一店舗ずつ関係を築いていったといいます。良い本を作ることと、その本が読者の目に触れる場所を設計することは、まったく別の仕事だという姿勢が徹底されていました。
ブログで言えば、検索流入・SNS・メルマガ・内部リンクなど、読者との「接点」ごとに戦略を分けて考える必要がある、ということです。同じ記事でも、検索から来る読者とSNSから来る読者では、求めているものも読み方も違います。
③ データを見ながらチームで粘り強く改善する
発売して終わりではなく、発売後も売れ行きデータを分析し続け、うまくいかなかった施策も含めて改善を積み重ねていった、という描写が本書には繰り返し出てきます。派手な一発逆転ではなく、地道な検証と修正の積み重ねが100万部という結果につながっています。
ブログ運営も同じで、PV数やクリック率、検索順位を定点観測しながら、単発の施策で満足せず改善を続ける姿勢が結果的に一番の近道になる、と改めて感じました。
ブログ運営者が明日から実践できること
上記の3つのポイントを、自分のブログ運営に落とし込むなら次のようなアクションが考えられます。
- 記事を書く前に「誰の、どんな悩みに答えるか」を1文で書き出してから書き始める
- 検索・SNS・メルマガなど、読者との接点ごとに導線や訴求を変える
- 公開して終わりにせず、アクセス解析を見ながら定期的にリライトする
今まで、記事を書いたら書きっぱなしで終わることがほとんどでした。今回この本を読んで、どの記事が読まれていてどの記事が読まれていないのか、どんな人に読まれているのか、どれくらい滞在してくれているのか、といったデータをきちんと分析し、改善を続けていく必要があると実感しました。
あわせて、読んでほしい相手が実際に使っている媒体にも、こちらから露出していく動きが必要だとも感じています。このあたりを、まずは具体的なアクションとして取り組んでいきたいと思います。
こんな人におすすめ
- ブログやSNSで発信しているが、反応が薄いと感じている人
- 商品やサービスを「興味のない人」にも届けたいマーケター・広報担当者
- 出版・編集・営業など、コンテンツを世に届ける仕事に関わる人
- 『人は話し方が9割』を読んだことがあり、その裏側に興味がある人
まとめ
『読まない人に、本を売れ。』は、良いコンテンツを作ることと、それを届けることは別のスキルである、という当たり前でありながら見落としがちな事実を、100万部という結果とともに教えてくれる一冊でした。
「届け方」を設計するという視点は、ブログ運営はもちろん、あらゆる発信活動に応用できます。気になった方はぜひ手に取ってみてください。
